Bonjour ! KOKOです。
さて、先日このようなツイートをしました。
日本の新卒以上の給料をもらいながら、自分の好きな勉強ができて、だいたい3年で修了することができるともれなく10年滞在権までついてくるフランスの博士課程に心がなびいている。
— KOKO🇫🇷フランス大学院生 (@koko_blog) January 19, 2020
フランスの企業での6ヶ月のインターンシップを終え、そのままその企業でCIFREと呼ばれる博士課程に進むことになりました。
ん?企業で博士?社会人ドクターみたいなもの?
このような質問にお答えしていこうと思います。
目次
フランスの5種類の博士過程

実はフランスには5つのタイプの博士課程(Doctorat)が存在しています。
今やほとんどのエンジニア職で大学院卒業が求められているフランスでは、博士課程の認知度も非常に高いです。
特にR&Dと呼ばれる研究職の公募では、博士号を要件としている企業も多いです。
では5つのタイプのDoctroratについてお話ししていきます。
Le doctorat simple

Le doctorat simpleは一般的な博士課程として知られています。
理系であれば3年前後、文系分野であれば5.6年ほどかけて博士論文を完成させます。
この場合取得できるのはフランスの博士号であり、一人の論文監督者のもとで勉強や研究を行い、一つの研究機関でディフェンス(論文発表)を行ます。
日本でも一般的に知られている博士課程と同じですね。
Le doctorat en codirection

Le doctorat en codirectionは共同博士号と呼ばれています。
一般的な博士課程と違うのは、論文監督者が2名いることです。
もう一人の論文監督者は国内外問わず選択できるので、国際的に研究ができるのも魅力の一つですね。
博士号を得ることができるのは片方の論文監督者が所属する機関からのみです。
Le doctorat en cotutelle

Le doctorat en cotutelleは共同博士号と似ているのですが、違う点はもう一人の論文監督者はフランス国外から選択しなければいけないことです。
一方で、博士号はその両方の論文監督者が所属している2つの機関から獲得することができます。
大学間で協働契約書や取り決めが必要です。
Le doctorat en entreprise (CIFRE)

CIFREはConventions Industrielles de Formation par la REchercheの省略形で、企業と大学(研究機関)に籍をおきながら論文を書いていく博士課程です。
大学側から指導を受けたり、企業側から指導を受けたりと双方向に籍をおくメリットを享受できるポストであり、その比率は状況に応じて変えることが可能です。
博士学生は3年間CDDとして企業に雇用されることになります。
また3年以内での博士論文修了率も非常に高く、その後の仕事が見つけやすいのもポイントです。
Le doctorat européen conjoint

Le doctorat européen conjointは欧州共同博士号とも呼ばれています。
割と新しい博士課程であり、その特徴は欧州内の3つの国の3つの研究機関で博士論文を執筆することです。
この博士課程については情報があまりにも少ないため詳しい情報はわかりません。
CIFREと一般博士過程の違い

上でも述べたようにCIFREと一般博士課程の1番の大きな違いは、企業に籍をおくかどうかということだと思います。
産業側に所属をすることは、博士課程終了後に再び職を探す時に役に立ち、研究室に所属する博士課程ではできない経験になります。
一方で企業と研究機関に籍をおくことで、板挟みになりやすい状況でもあります。
また日本の社会人ドクターと違うのは、業務時間内に研究を進めるということ。
社会人ドクターとしてよく聞く、仕事が終わってから研究室に行って研究と言ったようなことにはなりません。
CIFREについてより詳しく知りたい方は以下のリンクからどうぞ。
CIFREのメリット・デメリットは?

ではこのCIFREのメリット、デメリットは何でしょうか。
僕が考えるCIFREのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 企業サイドの職務経験も同時に得ることができる
- 研究結果がそのまま商品に適用される可能性高い
- 企業雇用なので比較的給料が高い
- 修了後にそのまま働くことができる可能性高い
- 教授の授業の手伝いなどをしなくて良い
デメリット
- 研究と産業サイドの板挟みになる可能性あり
- 研究室と企業が求めるものが違うと大変
- 研究室に行ったり、企業に行ったりする
- 有給日数が違う(ex. アカデミック所属だと日数かなり多い)
- CIFREの学生は少ないので横の広がりができにくい(とはいえ研究室にもいくのでその時にコネクションを作るのもOK)
最後に : フランスでインターンをする

今回はフランスの博士課程についてお話をしていきました。
教育機関に所属する博士課程、企業に所属する博士課程とそれぞれ良い点悪い点があります。
将来を見据えてどちらの雇用形態の方が合っているのかどうかを吟味し、決定できるといいですね。
フランスで研究職に就くための近道は実際にインターンシップをして内部に入り込むことです。
インターンシップを探すために使用したおすすめのサイトや探し方についてはこちらからどうぞ。
というわけで今回は以上です。