Bonjour ! KOKOです。
さて、先日このようなツイートをしました。
Tgv乗ってて、同じブロック(3-3対面)に座った人たちと身の上話をしてたんだけど、これから留学する人たちにぜひ知っていてほしい内容なのでシェアします。
— KOKO🇫🇷フランス大学院生 (@koko_blog) July 24, 2020
こちらのツイートに関するトピックを今回はお話しするので、先に上記のツイートを読むと流れがわかりやすいかと思います。
予想よりも多くのコメントをいただきました。ありがとうございました。
またそのコメントの多くが生活保護制度に関するものだったので、これを機にフランスの生活保護制度について勉強をしました。
(政治政党、国籍雇用問題などはまた別の機会に調べてみます)
せっかくなのでフランスに興味のあるみなさんに僕が学んだことをシェアできればと思い、まとめてみました。
(あくまで一個人が収集した情報ですのでご容赦ください)
フランスの生活保護 Revenu de Solidarite Active

フランスの生活保護制度のことをRevenu de Solidarite Active、通称RSAといいます。
日本語では積極的連帯所得手当と表記されています。
この生活保護制度、RSAに申請し受理されるためには大まかに以下の条件を満たさなければいけません。
フランス国籍を持っている場合
- 25才以上でフランス在住であること
- 過去3ヶ月間の収入を提示できること
- 学生、インターン生ではないこと(例外あり)
- 育児休暇などの休暇中ではないこと
- 失業保険制度及び連帯制度の対象外の失業者
- 一定収入を超えない低所得者
EU圏内の国籍の場合
- 居住権があり、すでに3ヶ月以上滞在していること
- 失業時にPôle emploiに登録していること
- 仕事があるが病気休暇中であること
- 仕事を登録時に職業訓練を受けていること
EU圏外の国籍の場合
- フランスで働くために少なくとも5年間の滞在許可証を持っていたこと
- 在留カードまたはそれに準ずる物を持っていること
- 法的にいずれの国の国籍も持たないこと(Apatride)
- protection subsidiaire(難民としての保護資格を持たない)の受益者であること
これらの条件に加えて、収入額が基準を超えていないかどうか、暮らしぶりが適切であるかどうか、職安で仕事を探そうとしているかどうかなど細かな条件をクリアするとRSAを受け取ることができます。
詳しくはフランス政府のホームページを確認してみてください。
こちらのページには条件に関するより詳しい情報がまとめられています。
RSAの支給額はいくら?

ではこのRSAに申請し、許可がおりるといくらぐらいの生活保護を受けることができるのでしょうか。
RSAの支給額は以下の式で計算されています。
RSAの支給額=(RSA基本額+世帯の就労所得の 62%)-(世帯収入+住宅援助定額金)
RSAの基本額(RSA socle)は一定ではなく、結婚しているかどうか、子供の有無など様々な項目から判断されます。
2020年現在のRSAの基本額は以下の通りです。
- 独身子供なし 564.78€
- 単親子供一人 847.17€
- 単親子供二人 1016.60€
- 結婚子供なし 847.17€
- 結婚子供一人 1016.60€
- 結婚子供二人 1186.04€
です。
また、子供が一人増えるにつれて225.91€加算されます。
実はこのRSAの基本額ですが毎年少しずつ増加しているそうで、2001年にはRSAの前身であるRMI(Revenu minimum d’insertion)がおよそ400€でした。
20年の間に約150€も上昇しているんですね。
RSAだけだと生活はかなり厳しいですが、他の社会保障制度と合わせて受給することでなんとかなりそうな印象です。
加えてRSA受給者であることを証明するとSNCFの電車を割引価格で利用することも可能なようです。
地域によっては90%OFFの価格で購入することもできるようなので、電車賃くらいなら簡単に捻出可能な気はしますね。
RSAのここが問題点!

上でも書いたように、RSAの前身はRMI(Revenu minimum d’insertion)という制度です。
低所得者を支えるために設けられたこのRMIですが、RMIを受給中に就職をし、給料を得た場合、給料に合わせてRMIの受給額が減少してしまいます。
そのため、働かずに RMIを受給し続けるケースが増加し、受給者の社会復帰率の低下が問題となっていたそうです。
それらの問題点を踏まえ、RSAでは就職をして給料を得るとそれに応じて総収入も増えていく制度になりました。
一方、施行された後で続々と問題が出てきているのも事実です。
ひとつはRSA受給までの道のりが長く、仮にRSAに申請し受理されたあとで仕事を見つけた場合は、また新しくRSAを申請しなければいけないことです。
2019年には実に184万世帯がこのRSAを受給しています。
ただ申請者が多いだけならまだしも、フランスでの書類関係の進行具合は、フランスに住んだことのあるみなさんなら想像できるのではないでしょうか。
また申請用紙や審査員からの個人的な質問が屈辱的で耐えられず、申請途中で諦めてしまうという事例もあるようです。
せっかく仕事を見つけてもまたこの長い申請ステップを行わなければならないと考えると、仕事を見つけずにそのままRSAを受給し続けるという選択をしてしまうのもわからなくもありません。
仕事なんて選ばなきゃいくらでもあるだろと思う方もいるかも知れませんが、現状を変えるために一旦手に入れたコンフォートゾーンを抜けだすというのは勇気のいる行動です。
他にもRSAを申請して受給してしまうと、収入がマイナスになるといった問題も発生しています。
RSAの支給額を求めるための計算式を覚えていますでしょうか。
RSAの支給額=(RSA基本額+世帯の就労所得の 62%)-(世帯収入+住宅援助定額金)
この式の世帯収入は過去3ヶ月での収入を意味しており、収入に変動が大きい場合は支給額が減ってしまう場合もあるんですね。
実際にSMIC(最低賃金)の半分の時間で働いている人たちのおよそ68%はRSAに申請をしていないそうです。
詳しくはこちらの動画もみてみてください。
他にも逆にRSA受給者の方がSMICで働いている人よりも収入が高いことについてどう思うかといった動画もありました。
2020年現在のSMICは手取りで1,219€。
子供が増えれば増えるほどもらえる支給額も増えますので、確かにあり得る話だと思います。
また、RSA受給者サイドの動画もぜひみてみてください。
RSAの書類の不確かさに翻弄される女性、二人で過ごすより別々で過ごした方がRSA総支給額が多いために別居しているカップル。
普段の留学生活では見ることができないフランスの一面を垣間見れると思います。
今回の件で色々と思うこと

改めましてコメントをくださった皆さん、貴重なご意見をありがとうございました。
普段の留学生活では決して触れることのない新しいフランスの一面を勉強することができました。
読んでくださっている方のお役に立てれば幸いです。
一方で今回のツイートに関して少数ではありますが、心ないお返事もいただきました。
「何にも知らなさすぎる、ちゃんと勉強しろ」
「フランス語できるのか」
「大嘘つき、でっち上げだ」
色々と思うことはあるのですが、これからフランスを含め、海外に夢を持って留学したいと考えている人のためにもこれだけは言わせてください。
何も知らなくて当たり前なんです。
何事も自分ごとになって初めて興味が湧き、勉強をし、知識が増え、そうやって人は成長をしていきます。
最初から何もかも知っている人なんて一人もいないんです。
知らないことは罵倒されるべきものではありません。
逆に知っている方がラッキーなんです。
今までに学習するチャンスがあったということなので。
言語学習についても同じです。
最初からペラペラなんてことはあり得ないんです。
正直な話、フランスに限らずどの国に行こうと、英語が下手だ、フランス語ができてない、と言語について文句を言って来るのは日本人ばかり。
これから海外に出る人、周りのノイズに振り回されないように。
昨日の自分の能力と比較して、日々努力をしていきましょう。
人それぞれ意見があるので、自分はこう思う、とか、こういう制度があって、とかのリプライなら勉強になるので非常にありがたいです。
— KOKO🇫🇷フランス大学院生 (@koko_blog) July 26, 2020
ただ流れてきたツイートみただけで、謂れのないようなリプ送るアカはブロック。単純に面倒なので。目の届かないところでどうぞお幸せに。
最後に : 留学生はCAFの手続きを!

今回はフランスの生活保護制度Revenu de Solidarite Active (RSA)について僕が学習したことをまとめていきました。
今まで生活保護制度と接点がなかった方、最近ふと気になっていた方などのお役に立てれば幸いです。
今後ともフランス生活を続けていく上で疑問に思ったことは調べ、勉強した上で読んでくださる方にシェアをしていけたらいいなと思っています。
というわけで今回は以上です。
フランスの社会保障制度のひとつであるCAFは、学生に非常に馴染みのある社会保障制度です。
住宅費用の一部を政府が補助してくれるので、留学生活費用を節約したい学生は申請必須です。